この記事は映画系2chまとめサイト『となりの映画館チャンネル』の管理人による映画感想記事です。
『ペーパーボーイ/真夏の引力』は2012年に公開されたサスペンス映画。
ザック・エフロン、マシュー・マコノヒー、ニコール・キッドマン等々の有名俳優がキャスティングされているのだが、この出演陣からは想像もつかないような悪趣味な内容の作品なのでかなり閲覧注意な映画である。
『ペーパーボーイ/真夏の引力』あらすじ
1969年のアメリカ南部、水泳の選手として大学に入学した20歳のジャック(ザック・エフロン)は飲酒でトラブルを起こし大学を中退、父が経営する新聞社の手伝いをしながら地味な日々を送っていた。そんなある日、4年前の保安官殺人事件の取材のために都会から新聞記者である兄のウォード(マシュー・マコノヒー)が帰郷してくる。彼は同僚の黒人記者ヤードリー(デヴィット・オイエロォウォ)、そして事件の容疑者であるヒラリー(ジョン・キューザック)に想いを寄せる中年の女性シャーロット(ニコール・キッドマン)を連れてくる。ジャックはシャーロットの色香に魅了され一目ぼれしてしまうのだが…。
『ペーパーボーイ/真夏の引力』感想
とにかく全編を通して“様々な不快感”に満ちた作品。
ニコール・キッドマン扮するシャーロットは品があるというよりも、とにかくけばけばしくて見ていて気味が悪いエロさ。自身の“性”を世渡りの道具として使うことを厭わないので、その奔放さが初心なジャックを翻弄する。
60年代のアメリカが舞台ということもあり、人種差別的な言動が目立つ登場人物が多く、その度に決まづくて胸糞の悪い雰囲気が流れる。主人公ジャックの家族も曲者ぞろいでまともな人間がいない。恋人のBBAに夢中な父親(レイシスト)、ゴリゴリの人種差別主義者な父親の恋人。この二人のせいで家庭内の空気感は地獄の様。ジャックの心の癒しは、子供のころから家に勤める黒人メイドのアニタとの他愛ない会話なのだが、人種差別主義者の父とその恋人はチクチクとした嫌がらせでアニタを傷つけ、その度に胸糞の悪い空気が生まれる。
マシュー・マコノヒー演じる兄のウォードは頼れる兄貴なのだが、秘密の一面を弟のジャックに見せつけて彼の心に深いトラウマを残してしまう…。
ジワジワとした不愉快さが延々と続くのだが、ラスト15分で一気に雰囲気が変わる。いわゆる南部ゴシック的な恐怖感に溢れる15分間は正直並みのホラーよりもずっと怖い…。
不愉快なストーリーが続き、ラストで一気に上質なサスペンスホラーをやってくれる一粒で二度おいしい(いや…おいしくはないか…)唯一無二の怪作。
なぜこんな悪趣味な映画に豪華キャストが揃ったのか…ミステリーである。(とくにマシュー・マコノヒーのあんな姿は見たくなかった…)