偏見と差別を向けられやすいHIV(エイズ)。その病魔に侵されながらも、“生き延びるため”に奮闘したカウボーイがいました…。
HIVを患いながらも、必死で生き続け、アメリカに影響を与えた実在の人物ロン・ウッドルーフの人生を描いた映画『ダラス・バイヤーズクラブ』をご紹介いたします。
作品の基本データ
監督・脚本 ジャン=マルク・ヴァレ
公開年 2013年
制作国 アメリカ
出演 マシュー・マコノヒー、ジャレッド・レト
作品解説
アメリカのテキサス州ダラスの地方新聞で話題となった記事がストーリーの元となっています。
それまで肉体美をウリの一つとしていた俳優マシュー・マコノヒーがエイズを患いながらも孤軍奮闘する主人公ロンを演じるため、徹底した減量を行ったことが話題を呼びました。
過酷な役作りのかいもありマシュー・マコノヒーは本作で第86回アカデミー賞で主演男優賞を受賞しました。
あらすじ
テキサス州のダラスに住む電気技師兼ロデオボーイのロン・ウッドルーフ。
彼は酒と女をこよなく愛し、奔放な生活を送っていました。しかし、そんな生活が祟って彼はHIV(エイズ)に感染し、病院で診察を受けたときには病状は「余命30日」を宣告されるまでに悪化していました…。
ロンは必死に生き延びようとHIVについて猛勉強。そしてアメリカで受けられるHIVの治療には希望が見いだせないことを知り、非認可薬でも手に入れる事の出来るメキシコへと単身向かいます。
現地の医者から薬を入手しアメリカに帰還した彼は、同じHIVに苦しむ同性愛者のレイヨンの協力を得て新しいビジネスを始めることに…。
見どころ!!
・主人公ロンは別に聖人君子ではない!
本作の簡単なあらすじや、清々しいDVDのパッケージなどをよく目にしていた私は「『奇跡体験 アンビ〇バボー』の後半みたいなお涙頂戴系の実話映画なのかな」くらいの予想を立て本作を鑑賞しました。
大きな勘違いでした!!
とにかく主人公のロンが滅茶苦茶…。乱れまくった女性関係、エイズを宣告されても医者に悪態をつき、薬はウィスキーとともに飲み干す(効き目は一応あったようですが…)。正直ロンに同情の余地はありません…。
しかし!!同情する必要なんかないんです!!
例え因果応報、自業自得だろうと、病魔に侵され何度も気を失いながらも(何回気を失うんだってくらい倒れてました…)、ただ“生き延びるため”駆けずり回るロンの姿には心打つものがあります。
同情を買い、感動を誘うような話よりも、同情するような余地はなくとも「明日も生き延びてやる!」というような強いバイタリティーを感じられるのが本作の魅力です。
トリビア
・新聞は『マシュー・マコノヒーは大病を患っている』と勘違いした
本作公開前、役作りのために激やせしたマシュー・マコノヒーを新聞が「やつれきっている」「何か患っているのは?」と、彼が病に侵されているかのような報道を行いました。それほど衝撃的な痩せっぷりだったという事でしょう…。
・ジャレッド・レトは本作への出演を一度断っていた
『ダラス・バイヤーズクラブ』を語るうえで欠かせないロンの協力者レイヨン。
同性愛者である彼を熱演したジャレッド・レトはオファーがかかった際、それを一度拒否していたそう。
当時ジャレッド・レトは音楽活動に熱意が向いていたためだそうです。
しかし、ジャン・マルク・ヴァレ監督の猛烈なアプローチで出演を決定。今では彼にとってもレイヨンはお気に入りのキャラクターだそうです。
総括!!
以上、『ダラス・バイヤーズクラブ』をご紹介しました。
本作を鑑賞し、エイズに侵されながらも最後まで人生を駆け抜けたロンの姿に、強いバイタリティーを感じられてはいかがでしょうか?